祈りをささげる

教区報に掲載されている典礼コーナーから転載しています。

子どもの初聖体(二)




 聖体をいただくのはご褒美ではありません。毎日の食事と同じように、聖体は私たちを養う大切な糧です。したがって準備の段階で何かあったとき、「こんなことをやるなら、ご聖体をいただけない」、「こんなことをするならイエスさまはあなたを愛さない」といった否定的な表現を用いないほうがいいでしょう。むしろ、「そんなことをしたらイエスさまはどう思うかな。イエスさまは悲しみますよ」と優しく諭すことが大事です。
【共同体の中に場を】
 初聖体は子どもだけの出来事ではありません。初めて、共同体と共にイエスの食卓に与り、共同体と共にいのちのパンをいただきます。そこで、初聖体の前よりも共同体の中で、子どもなりの役割が与えられるように、共同体も十分に意識する必要があります。子どもたちは可愛い、と思うだけではなく、特に典礼において、子どもたちが、能動的に、積極的に参加できるような場を提供して欲しいと思います。子どもたちは、共同体の中で育っていきます
【初聖体の前に】
 初聖体の前に「ゆるしの秘跡」を受けます。しかし、初めての「ゆるしの秘跡」を、単に初聖体の前提としてではなく、秘跡自体のいやしの喜び(注1)が味わえるように、初聖体の最終準備段階、つまり、初聖体の一、二ヶ月前にこの秘跡を受けたらどうでしょうか。そして、このことを共同体にも知らせ、一緒に祈ることが望ましいと思います。
【ミサとの関わりの中で】
初聖体は初めて完全にミサに参加することなので、ミサに行く前にお母さんやお父さんが、聖体拝領とミサの関係を子どもに話しかけてみたらどうでしょうか。たとえば、「イエスさまからたくさんのお恵みをいただいたね。今日のミサのとき、イエスさまに、この1週間のどのお恵みに感謝しましょうか」、「今日は誰のために、何のためにお祈りしましょうか」、「病気の○○さんのためにお祈りしましょうね」、「イエスさまと一緒に、神であるお父さまに有難うを言いましょうね」、「イエスさまをいただいたとき、イエスさまに何をお願いしましょうか」などなどです。このような対話をとおして、ミサと日々の生活が結びつき、聖体をいただいたとき、キリストと一つになり、神の子として自分も人も大事にして生きることを学ぶでしょう。やがて、信仰について、イエスについて、教会について、親子の間で話し合うことのできる習慣が身についていくのではないでしょうか。                                                 
【初聖体の祝い】
初聖体の後、どの教会でもお祝いをするでしょう。共同体が、子どもたちがキリストの道を歩めるように、その前途を祝福することは素晴らしいことです。その祝いにはぜひ代父母も参加できるように計らって欲しいものです。初聖体は家庭全体の喜びです。どの家庭においても、子どもにとって一生忘れることのできない思い出として残るような、心のこもった祝いが行われることが望まれます。家庭の祝いは、七五三のお祝いよりもはるかに大切です。初聖体のとき、共同体、親、代父母、友人などから記念としていただいた十字架、ロザリオ、マリア像、ご絵などを、大人になっても大切にしている人が大勢おられることは、皆さまの経験からもよくご存じのことと思います。
【アフター・ケア、堅信の秘跡に向けて】
初聖体の準備も大事ですが、子どもたちがキリストの道を歩むためのアフター・ケアはもっと大切だと言えます。そこで、同じリーダーが初聖体の準備とアフター・ケアの両方を担当することが望まれます。したがって初聖体は、たとえば、「キリストの聖体」の主日などに行なうように計画すれば学年の区切りとは関係なく、継続的な信仰養成ができるでしょう。
初聖体のアフター・ケアは、堅信を視野にいれて、一貫したカリキュラムをもって行われることが大切です。
(教区典礼委員会)
注(1)「ゆるしの秘跡―神のゆるしを喜び歌おう」女子パウロ会 参照