祈りをささげる

教区報に掲載されている典礼コーナーから転載しています。

聖歌の奉仕(一)
       
典礼コーナーでは、ミサの中で信徒が果たす種々の奉仕について考えてきました(注1)。これから二回にわたって「聖歌の奉仕」について取り上げますので、ご一緒にお考えください。
「詩編と賛歌と霊的な歌により、感謝して心から神をほめたたえなさい」(コロサイ三・十六)、とあるように、共同体のささげるミサの中で、信者全員が心を一つにして歌う聖歌は大切な祈りです。昔から教会に「よく歌うことは二倍祈ることである」、と伝えられている言葉にもその意味が込められています。典礼における歌は主をたたえ感謝する歌、聖書を聴く準備の歌、聴いた聖書のことばを深く味わう歌などそれぞれ意味と役割があります(注2)。
聖歌に関わる奉仕者の役割は、聖歌の選曲、詩編唱者、聖歌隊、オルガンなどの楽器奏者として、自らが神へ賛美と感謝を捧げながら、共同体が積極的にミサに参加できるように促すことです。


聖歌の選曲
選曲にあたって、とくに入祭の歌、奉納の歌、拝領の歌といった行列の聖歌を選ぶのに苦労する現実があるようです。この点に関しては、教区報五十三号の典礼コーナー「主をたたえ歌おう」を参照していただきたいのですが、簡潔に言えば、行列の聖歌は、ミサに集う人々の一致と喜びを表し、行動的参加を促す意味があることを心に留めていただければよいと思います。
選曲にあたって、複数の人で話し合って選ぶことをお勧めします。互いに意見を述べ合うことによって、個人的な好みなどの偏りを防ぎ、共同体の一致にも繋がります。
話し合う際に大切にしたいポイントを三つ挙げておきます。


それぞれの行列の意味と特徴を理解しておく。
「聖書と典礼」などを利用し、当日の聖書朗読のテーマを心に留める。
典礼暦年 や祝祭日を把握しておく。


「教会暦と聖書朗読」(カトリック中央協議会編)付録の「典礼聖歌による聖歌案」が役立ちますし、「聖書と典礼」の集会祈願・奉納祈願・拝領祈願、入祭唱・拝領唱のことばもヒントとなります。また「典礼聖歌」には、詩編部の楽譜上に、詩編あるいは聖書の箇所、内容の主題、用いられる季節、典礼の場面が記載されています。巻末の「詩編索引」、「答唱詩編索引」、「季節と年間のミサの歌索引」、「秘跡・準秘跡などの儀式に用いる歌索引」も手がかりとなります。


ミサは、司式者と全会衆が共に捧げるものなので、そこに集う会衆の特徴に配慮し、柔軟に選曲することも必要です。例えば、次のような工夫ができると思います。
・子どもや青年が多い場合は、テンポが速めの歌を選び、ギター伴奏などを取り入れる。
・高齢者が多い場合は、歌い慣れている曲やゆったりした曲を選ぶ。
・外国籍の方が多い場合は、その国の曲を取り入れる。


ただし、「ローマ・ミサ典礼書の総則」には、「歌詞は司教協議会に認可されたものでなければならない(48a)」、行列の歌ではありませんが、「式次第の中に入れられた歌は、たとえば『平和の賛歌』のような歌は、他の歌に代えることが出来ない(366)」、などの約束事がありますのでこれを心に留めておく必要があります。
初めて歌う曲や、例えば「復活賛歌」、「復活の続唱」、「聖霊の続唱」のように歌う機会の少ない聖歌の場合は、練習の時間を設け、他の奉仕者と連携することをお勧めします。
聖歌の奉仕者は、ミサは司式者と会衆が心を一つにして捧げる典礼行為であることを心に留め、参列者全員が心と声を合わせて歌い、祈れるように奉仕して欲しいと思います。


次回は、答唱詩編、詩編唱者と聖歌隊・器楽奏者について考えたいと思います。
(教区典礼委員会)


(注1)教区報六十五号、六十六号、六十七号、六十八号参照                                     
(注2)「アレルヤ 主をたたえ歌おう」(横浜教区典礼委員会編 発行二〇〇八年)参照